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相続人の1人が行方不明で相続手続きが進まないトラブル




私の父は4人兄弟の長男(A)でしたが、すでに5年前に亡くなっています。今回父の弟(B)が亡くなりました。遺言書はありません。
Bは結婚したことがなく、一生独身でした。当然子もいません。相続人はACDになりますが、私の父のAもCもすでに亡くなっています。生きている兄弟はDだけです。祖母や祖父もすでに死亡しています。Cの子にXがいますが、Xは行方不明の状態です。
相続の遺産分割は全員が遺産分割協議をする必要があるとのことですが、この場合どうすれば良いのでしょうか。





生きているが、住所不定で連絡がとれない場合

遺産分割協議は、相続人全員が参加をして協議し、合意が得られなければ有効に成立しません。Bは配偶者も子もいないので兄弟が相続人になります。兄弟もすでに亡くなっている場合は子が相続人になります。そのうちの一人が行方不明の場合には、行方を捜索して、捜し出さなければ遺産分割協議が出来ないことになります。

行方を探しても捜し出すことが出来ない場合には、不在者財産管理人の申立を家庭裁判所にするという制度があります。
不在者財産管理人の申立は行方不明者が最後に居住していた住所地の家庭裁判所で行います。
その場合、行方不明であるということがわかる証拠として勤務先や最後の住所地の近隣から事情を聞いた報告書や戸籍謄本、住民票、捜索願等を提出することが必要です。

不在者財産管理人は当該不在者のために財産を管理、保存するのが本来の職務ですから、遺産分割に参加した結果、処分行為をする場合、必ず家庭裁判所に事前に内容を説明し、許可を得る必要があります。
このように、不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、行方不明になっている相続人の代理人として遺産分割協議に参加することになります。

生きているか否か不明の場合

相続人が長期間行方不明で生死そのものがわからない場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立をすることになります。
失踪宣告には普通失踪と特別失踪があります。

◎普通失踪

行方がわからない不在者の生死が、生存が確認された最後の時から、生存も死亡も証明できない状態が継続し7年間以上明らかでないときは、利害関係人の請求によって、家庭裁判所が失踪の宣告をすることになります。
失踪宣告によって、その所在不明者は死亡したものとみなされます。死亡したとみなされる時期は7年間が終わった時です。

◎特別失踪

戦地に行った者や沈没した船舶にいた者、大地震等、その他死亡の原因と考えられる危難にあった者で、その生死が、危難が終わった後1年間不明であるときは、同じように失踪宣告によって、死亡したものとみなされます。
死亡したとみなされる時期は、失踪宣告時に遡り、船舶が沈没したり大地震等の危難の去った時になります。

行方不明相続トラブルの回避

このように単なる不在者なのか、生死が不明なのか等、行方不明の内容によって対応も異なりますが、いずれにしても不在者財産管理人による遺産分割を行うか、失踪宣告により代襲相続人が遺産分割を行うことが出来ます。

失踪宣告 生きていた場合

失踪宣告を受けたものが後になって生きていたことが証明した場合には、家庭裁判所に失踪宣告の取り消しをしてもらわなければなりません。

また、相続した財産は原則として返還する必要がありますが、既に亡くなってしまったと思い、相続財産を使ってしまった場合には返還の義務はないとされています。



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約20年間の相続実務の経験を有し、 最高税率(旧70%。現50%)の適用になる相続税の申告、弁護士との共同で相続紛争の解決、相続税の更正の請求による数千万円の還付を受けた経験者

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