限定承認は、共同相続人の全員が必ず共同でしなければなりません。

放棄は単独ですることができますが、限定承認は一部の相続人だけでするわけにはいきません。

一部の者だけの限定を認めると、相続財産の清算や権利関係が複雑になるからです。
その結果、相続人の中に一人でも限定承認に賛成しない者がいたり、限定承認の申述前に相続財産を処分した者がある場合には限定承認をすることができないことになります。

このようなときは、限定を欲する相続人は相続の放棄をするほかはありません。

ただ、相続人の中の一部の者が、限定承認の前かこれと同時に放棄をしたときは、放棄者を除く相続人全員が共同で（一人しかなくなれば単独で）限定承認をすることができます。なぜなら、放棄した者ははじめから相続人でなかったことになり、かつ相続財産の権利義務にはなんら影響を及ぼさないからです。

限定承認をするには、三か月または伸長された期間内でなければなりませんが、この猶予期間は、自己がその相続人であることを知ったときから進行します。

したがって、相続人の一部の者が他の相続人より遅く知ることになった場合に、この遅く知った者の猶予期間内であれば、猶予期間を経過したほかの相続人も、これと共同で限定承認の申述ができると考えられます。

 

 

 

 

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