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海外財産あぶり出し 国外財産調書と相続税の税務調査

国際化に伴う規制緩和によって、国境を越えた資金移動等が以前と比べて容易になった結果、国外財産(海外財産)を所有する人が増えています。
これらの国外財産から生じる利益や、相続時の課税漏れが多く発生している現状を改善するため、法令の改正が行われ課税庁でも厳しい調査が行われています。

国外財産調書の提出

平成24年度の税制改正により、平成26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書から適用されます。
すなわち、平成25年12月31日における国外財産の保有状況を翌年の確定申告の期限までに提出することが義務付けられています。平成25年12月31日の国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える国外財産について適用されます。

具体的記載事項

国外財産調書には、

  1. 住所、氏名、居所 
  2. その者の有する国外財産の種類、数量、価額、所在
を記載します。

土地建物等の不動産、現預金、有価証券等金融資産、貴金属、書画骨董等、金額に換算できる財産は全て記載することが必要です。

例えば、土地であれば用途別(一般用、事業用別)、所在別の地所数及び価額を記載することが必要になります。有価証券や預貯金も種類別、所在別に記載が必要です。


相続財産の相続税の税務調査と国外財産調書

税務署や国税局によって、国外財産(海外財産)の相続税の税務調査が行われ、国外遺産が発見され修正申告等が必要になった場合、国外財産調書に修正申告等の基因となる国外財産について記載がない場合には、過少申告加算税や無申告加算税は、本来の規定により計算した額に100分の5の割合を乗じて計算した金額が加算されます。逆に国外財産調書に国外財産の記載がある部分については、過少申告加算税、無申告加算税を5%軽減されます。

一般的には国外財産調書に記載した財産を相続税の申告に際して漏らしてしまうことは考えにくいので、5%の加重のみが相続税の調査の現場ではなされることが予想されます。

しかし、相続税についてのみ適用されるわけではなく、所得税の調査においてもこの規定は適用されますので、大口資産家や海外との取引を頻繁に行っている事業者の方、海外に銀行口座をお持ちの方はターゲットになると思われます。

国外財産所有者や海外取引と税務調査

海外との取引が頻繁に行われている事業者や法人は、国内取引のみの事業者や法人と比較して頻繁に税務調査が行われています。筆者の実体験でも、比較的規模の小さな会社や事業者でも設立して数年で税務調査があることが多いです。また、このような事業者や会社社長が亡くなり、相続が発生した場合には海外財産も含めた相続税の税務調査が間違いなく行われると考えられます。

国外財産が5,000万円以下なら安心か?

国外財産調書に記載しなければならないのは、国外財産の合計額が5,000万円を超える場合なので、今5,000万円を超える財産のある方は早めに処分したほうが良いなどと書かれている記事を見ますが、これではさらに目立つことになります。

国外財産が5,000万円以下でも国内財産と合算して相続税は課税されますので、国内に相当額の財産を所有されている方は、大口資産家として既に所轄の税務署で管理されターゲットにされていますので、海外財産が5,000万円以下だからと安心することなく相続対策を進めることが大切です。

相続人が日本国籍を有しており、住所が日本にある場合や、相続人の住所が日本にない場合でも、被相続人又は相続人のどちらかが相続前5年以内に日本国内に住所がある場合には、国内財産の他に海外財産に対しても相続税が課税されます。



 

 

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相続相談センター千葉 田代浩
代表者 田代浩
税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー
約20年間の相続実務の経験を有し、 最高税率(旧70%。現50%)の適用になる相続税の申告、弁護士との共同で相続紛争の解決、相続税の更正の請求による数千万円の還付を受けた経験者

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