成年被後見人と遺言
遺言をすることが出来る能力は、一般の行為能力とは異なり、意思能力があれば良いとされています。
一般的に財産上の法律行為をするには、行為能力が必要とされていますが、この点が異なります。
成年被後見人は、精神上の障害によって、事理弁識能力を欠く常況にあると認められ、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者であり、行為能力はありません。
しかし、民法973条により、遺言に関しては、成年被後見人であっても、その能力を一時的に回復した時であれば、遺言をすることが出来るとされています。
その時は、医師2人以上の立会いが必要です。すなわち、有効な遺言とするためには、2人以上の医師が立ち会って、成年被後見人が事理弁識能力を回復していることを証明することが必要になります。
この場合、立ち会った医師が遺言書に行為能力（判断力）を回復している旨を付記し、署名押印することになります。自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも、医師がこれに署名し、印を押さなければなりません。ただし、秘密証書遺言では、その封紙にその旨を記載し、署名し、押印することが必要です。
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