電子入力した遺言の有効性
録音テープやパソコンで電子入力した遺言は、自筆証書として有効かということが問題になります。
自筆証書の遺言は、文字通り全文、日付および氏名を自分で書いて(自分で書くことを自書と言う)作る遺言書です。
文字は人それぞれによって個性があるため、これによって遺言者の真意を確保し、偽造・変造を防止しようとする狙いがあります。
したがって、パソコンで電子入力したものは遺言者が自分で電子入力したことが明らかであっても、遺言としての効力はありません。
録音した遺言
録音した遺言は、遺言者の音声をそのまま残すことが出来ますが、一部を消したり、つなぎ合わせたりして、簡単に新しいテープを作ることが出来るため、遺言者の真意を確保することは困難です。
この意味で、録音テープによるものも、遺言としての効力はありません。他人に代書させて作った遺言書も、同じように自分で作った遺言書とはいうことが出来ません。
自署押印が必要
遺言者は、自分の氏名を書いて押印しなければなりません。
これは本人の意思によって作ったことを明確にするためです。
氏名を自署していても押印のないものは遺言としての効力が否定されます。
苗字だけまたは名前だけを書いてある場合には、これによって遺言者の同一性が認められる限り有効です。また、雅号、芸名、通称で書いたものでも、筆者の同一性さえわかれば氏名を自書としたということが出来ます。
遺言書に押す印は、実印でも認印でも良く、また拇印でも良いとされています。
しかしながら、後々相続人の間でトラブルの目にならないためにも、氏名をきちんと書き、実印で押印することをお勧めします。
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